今宵の晩餐 vol.28 肉味噌掛け野菜

投稿日:2024年10月14日

 皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。

 連載の二十八回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。

 今年の夏は記録更新の猛暑。それがようやく終わりました。日中は汗ばむような気温になることもありますが、夕刻は気温が下がり朝は肌寒ささえ感じるこの頃です。

 10月1日は日本酒で乾杯の日。世界遺産の東大寺や興福寺に囲まれた奈良公園バスターミナルで鏡開きと振る舞い酒の行事を行いました。秋祭り、それに商店街の祭りもあり、慌ただしい日々を過ごしています。 秋刀魚(さんま)の季節になりました。焼き秋刀魚に添える大根おろしに使った大根の余りが冷蔵庫に残っています。ふと、風呂吹き大根が頭に浮かびました。酒のアテとしては少し弱いので、肉味噌を載せることにしました。

主役の酒

清酒 三日踊 純米大吟醸

 2019年度に醸造した精米歩合35%の高級酒。冷蔵庫に少しだけ残っています。贅沢にこの酒を合わせることにしました。

アテ

肉味噌掛け野菜

 色目も含め大根だけでは物足りません。ブロッコリも加えることにしました。そういう訳で風呂吹き大根ではなくなり、肉味噌掛け野菜です。

 先ずは肉味噌。200グラムほどの挽肉を細かく切ったニンニクと生姜と共に炒めます。火が通ったら水で溶いた50グラムほどの味噌、砂糖大匙2杯ほどを入れて煮ます。水気がある程度飛んでねっとりとしたら出来上がり。10分ほどの作業です。

 大根は箸で切りやすいように3センチ厚。電子レンジで5分加熱。ブロッコリは沸騰した湯の中で1分茹でて取り出します。冷蔵庫に上物の竹輪を発見。それも盛り付けました。野菜に肉味噌を掛けてできあがり。

晩餐

 今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。

 味噌とニンニクと生姜が織りなす食欲をそそる香りに誘われ、先ずは大根。箸で六分の一くらいを切り取り、肉味噌をたっぷり載せて口に運びます。味噌の塩気は適度で、ニンニクで高められた肉の旨みを生姜の香味が包んでいます。旨い!そして大根は甘い!

 純米大吟醸をゴクリ。吟醸香と低めの酸度のおかげで軽やかな甘みが口に拡がり、上品な酒の旨味が口の中に残る味噌を綺麗に流してくれました。もう一口。上品な吟醸の味を楽しみます。

 次はブロッコリ。味噌が絡まり酒のアテとしてピッタリです。コリコリとした食感も心地よく、狙い通り。そして酒。旨い!

 最後は竹輪。これは味噌を付けずにいきます。しっかりとした歯応えがあり、噛むほどに旨みを感じます。上物です。そして酒。淡白なアテは吟醸香の強い酒自体を楽しむにはもってこい。酒が進みます。今宵も満足です。

ではまた次回。