皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。
連載の二十六回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。
梅雨が明けぬというのに猛暑に襲われた今夏。アジサイ鑑賞どころか、気分はすっかり盛夏です。
夏といえば素麺(そうめん)。奈良県桜井市の三輪そうめんは絶品です。そうめんの具に少量の素麺を添えて濃厚なツユと共に冷酒を楽しむことにしました。
主役の酒
清酒 萬穣 大吟醸
前回に続き今回も同じこの酒にします。 本社で醸造をした最後の年の大吟醸が冷蔵倉庫に少し眠っています。これを合わせましょう。圧搾直後に瓶詰めし、打栓した後に自動瓶燗機を通していますので酒には発酵過程で生じた炭酸ガスが残っています。王冠の外装を外して力を掛けると、ポンと音がして栓が飛びました。4年熟成ですが味に期待が持てます。
アテ
素麺のツユと具
具にもなる干しシイタケと干しエビを使って濃い目のツユを作ることが最も重要です。
事前準備は干しシイタケと干しエビを少量の水で戻しておきます。
干しシイタケを細切りにし、干しエビと共に戻し汁で煮ます。適宜砂糖と薄口醤油で味付け。一方、削り節の出汁も取ります。削り節はスーパーで業務用と書いてあるものを買ってきます。私が使うものは鯖、鰯、鯵三種混合で、ひと煮立ちさせれば濃い出汁が出ますのでザルで濾します。そこにシイタケの煮汁を入れ、薄口醤油を加えてちょっと塩辛いかな、というくらいの味にします。ツユの完成です。ツユは冷やしておきます。
次は具。きゅうりと茗荷は細切り。薄焼き卵の細切り、ハムの細切りなどを用意します。先に煮た干しシイタケと干しエビと共に皿に盛り付けます。トマトもあれば色目が引き立ちます。素麺はアテですから2人前で1束。沸騰した湯に投入したら1分でザルに取り、流水で熱を取ってから氷水で冷やし、ガラスの皿に盛ります。
晩餐
今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。
ツユに刻んだネギ、おろし生姜を入れて準備完了。先ずは4切れほどのシイタケ、それに少しの素麺をツユにつけ、一口ですすります。濃厚なツユ!、甘くて旨いシイタケ!、冷たく喉越しの良い素麺!。三つの感動が押し寄せ、手の込んだ出汁をつくった苦労が報われます。そして冷酒。合う!
次は玉子焼きと素麺。強い出汁で強められた玉子の旨みが素麺と絡まり合い、これまた旨い!そして大吟醸。続いて干しエビ。5匹を素麺なしで口に入れると干しエビの濃厚な旨みが口に拡がります。そして大吟醸。爽やか!
ここらで箸休めっぽく茗荷と素麺。そしてきゅうりと素麺。口が落ち着いたところで大吟醸。旨い!。今宵も満足です。
因みに当夜は鰆(さわら)の塩麹漬の焼物もアテにしました。
ではまた次回。