皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。
連載の二十三回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。
3月下旬の冷え込みで開花が遅れた桜が咲き始めました。桜の名所100選のひとつ郡山城ではこの時期にお城まつりが開かれ多くの人で賑わっています。
店頭に春到来を告げるカマス子(かますご)の釜揚げが並び始めました。そのまま酢醤油で食べるのが普通かもしれませんが、中谷家では焼くのが定番です。
主役の酒
清酒 大和郡山 中谷 (2023BY 17本目の酒)
高い吟醸香(ぎんじょうか)を生み出す酵母をブレンドしたもので醸しました。初めての挑戦です。発酵初期は想定以上に勢いよく発酵しましたので中盤以降は通常より低温で経過させバランスを取りました。香りは強すぎないか、アテとの相性はどうか、楽しみです。
アテ
カマス子焼
カマス子をオーブンに入れて6分焼きます。砂糖を好みの量入れた酢醤油に焼き立てをジュンと入れれば出来上がり。
添え物の新生姜は、先月書いた通り輪切りの甘酢漬け。ラッキョウは、一から作るのは大変なので、塩漬けしてパックされたものを買い、水を切ってから甘酢に漬けます。二日もすれば食べられます。
晩餐
今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。
先ずは生酒。圧搾終了後、その日の内に瓶詰している上に新しい酵母が生み出した香りが高く、口に含む前から期待が高まります。そして一口。軽やかな音楽が口の中に広がるようです。香りもアテの邪魔にならない水準。旨い!。
カマス子一匹を一口で。香ばしく焼けた風味。それに油が乗っています。頭も背骨も焼いたおかげで気にならず、噛めば噛むほど味が出ます。旨い!これぞ春の味わい。そして酒を一口。口の中は軽やかな吟醸のメロディーで満たされます。
カマス子をもう一匹。酒を一口。そしてラッキョウ。コリコリ噛んだら酒を一口。砂糖を控えたおかげか、漬けて日が浅いからか、ラッキョウの塩味が残り、これまた酒に合います。旨い! 今宵も満足です。
ではまた次回。