皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。
連載の二十回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。
紅葉は終わりを迎えていますが、椿が咲き始め庭を明るくしてくれました。いよいよ冬の到来。冬は蕪(かぶ)の美味しい季節。タイミング良く赤カブを頂戴しました。酢漬けにして、主たる料理は何にしようかと冷蔵庫を開けたらイカが目に入りました。別々に食べても良いのですが、この二つを組み合わせれば、ちょっと嬉しい晩酌のアテになりそうです。
主役の酒
清酒 萬穣(ばんじょう)大吟醸
今回もちょっと贅沢に精米歩合35%の大吟醸に燗を付けていただきます。昔は吟醸系の酒に燗はご法度のような風潮がありましたが、旨い酒はどの温度でも旨いものです。
アテ
イカと蕪の和え物
蕪はスライスしてから幅1センチくらいに切り、塩もみをします。薄い昆布一片を皿に載せ、湯を少量掛けます。15分ほどで蕪から水が充分出ますのでしっかりと手で搾って水気を切り、昆布は細切りにしてボールに入れます。
味付けは酢、醤油、麺つゆ。蕪がひたひたに漬かるくらいの量になるよう同じ割合で混ぜ、蕪に掛けます。
蕪に味が染みるのを待つ間にイカの胴をスライスします。ゲソは1センチくらいのぶつ切りです。酒のアテにしますので軽く塩をします。
5分ほど塩が馴染むのを待ってからイカをボールに入れて混ぜればできあがり。見た目はちょっとした料理のような品格。楽しみです。
晩餐
今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。
先ずは酒を一杯。口の中を潤します。そして蕪を二、三切れ。大根よりもしっかりした歯応えが蕪の個性です。酢と醤油が馴染んでいます。そして酒。甘い吟醸香のお蔭で蕪の辛さが引き立ちます。
次はイカ。胴はまったりとした甘み、ゲソはコリコリとした歯ごたえが加わります。ちょっと塩をしたお蔭でイカの旨みが引き立ち、暖かい酒とうまく合います。旨い!
イカと蕪、両方を口に入れ噛みますと、蕪の辛さが丁度良いアクセントになってイカの甘みが強調されます。混じりあった旨みは軽やかで、酒を口に入れると爽やかに消えていきます。今宵も満足です。
ではまた次回。