皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。
連載の十六回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。
逃れようのない猛暑。日々の消耗を打ち消すべく、しっかりと晩酌。そして入浴。それでも疲れが溜まってきます。
食欲が低調ではありますが、確実に日々の食事をこなすのが健康の一歩。鰻といった高級食材もさることながら、日常の食材を使った高カロリーの栄養食は季節に対する抵抗の証。簡単にできる豚料理で夏バテ解消です。
主役の酒
清酒 奈良吟(ならぎん)純米吟醸
在庫が程よく熟成していますので米作りから一貫造りの奈良吟を選びました。米は中谷の水田も含む大和郡山市内で栽培された山田錦。圧搾直後に生のまま瓶詰めし、温シャワーで加熱殺菌、冷シャワーで冷却し、大正時代に建てられた土蔵の酒蔵で瓶熟成させたものです。
アテ
豚の生姜焼き
夏の定番とも言える豚の生姜焼き。豚の油とゼラチン質の甘みを砂糖と醤油が引き上げ、そこに清酒の旨みが加わったタレでガッチリと味が締まる「夏の公式」です。
用意する食材は、生姜焼き用の豚と生姜、それに添え物の野菜です。
酒、砂糖、醤油に摺り下ろした生姜でタレは完成。そこに生姜焼き用として売られている適度なスライスを経た豚肉を漬けて直ぐに別皿に取り出しておきます。
添え物の野菜は玉ねぎとピーマン。細切りにし、炒めて皿に盛り付け。ちょっとした工夫は、生姜スライスを加えておくこと。野菜を噛んだ時のアクセントになります。
油を足して強火にし、豚の片面を1分焼くと程よく焼き色が付きます。裏返して漬けダレを全量入れて1分半か2分で火が通り、酒のアルコールも飛びます。野菜を盛った皿に豚を乗せて、焼いた後のタレを上から掛け回せばできあがり。野菜を炒め始めてから何と5分の早業です。
晩餐
今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。
生姜の香りが食欲をそそります。「夏」と「生姜の香り」は一つの構文のようにまとまります。先ずは豚肉をガブリ。ゼラチン質が混じった油とタレをまとって口の中がギトギトの旨みで満たされます。そして奈良吟をゴクリ。
豚をもう一口。そして酒。旨い!。ここらでようやく野菜。タレにまみれたピーマンは夏を主張し、玉ねぎは甘さを口の中に拡げてくれます。生姜片を噛みました。爽やかです。
そして酒をゴクリ。今宵も満足です。
ではまた次回。