皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。
連載の十三回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。
今年の桜は早咲き。既に葉桜になりつつありますが明るい日差しに増えていく緑を見るのは春の喜びです。
大根の旬は終わり、店頭にはキュウリがたくさん積まれるようになりました。季節の変わり目を象徴するような一品を考えていたところ、オイルサーディンの缶が目に留まりました。キュウリと冷蔵庫に残る大根で和え物を作ることにしましょう。
主役の酒
清酒 大和郡山 中谷 (2022BY 41本目の酒)
今回合わせる酒は今醸造年度41号の酒。柳町醸造所で造られたフレッシュな生の純米吟醸酒です。酵母は901号。全量買い取りでお申込みいただいたのですが、一本だけ端数ができ、それを聞き酒を兼ねて本日の主役に抜擢です。数値上は辛口になっています。
アテ
オイルサーディンの和え物
オイルサーディンは頭と内臓を取り除いた小さなイワシをオイル漬けにした缶詰です。輸入されたものが多く販売されていますが、今回は京都府宮津市で加工されたものを使いました。
キュウリは薄く輪切りにスライス。大根は細切りです。塩を振って10分ほど置き、ギュッと絞って水けをきります。
ボールにキュウリ、大根、サーディンを入れ、コショウを適量振り、少量の醤油を掛け、マヨネーズで和えます。サーディンは適度に崩します。小鉢に盛れば出来上がり。
晩餐
今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。
先ずは生酒の聞き酒。「聞」の代わりに口偏に「利」という合成漢字を使うことが多いのですが、正しくは「聞」。現代中国語でも香りをかぐという意味で「聞」を使います。 数値上は辛口でも薄い澱が甘味をもたらし、キレ良くバランスの良い酒に仕上がっています。平均的なものとの差はあまり感じません。
さて、和え物を一口。キュウリと大根のコリコリ感が楽しく、そこにサーディンがコクを加え、マヨネーズがそれらをうまくまとめています。そして酒。口の中で和え物の余韻と酒が躍っているようです。狙い通りです。春らしい楽しみになりました。
次はサーディンの大きな塊を主体に口に入れます。そして一口。やはり旨い!。そしてもう一口。口の中が爽やかな酒に満たされます。そして和え物。今宵も満足です。
ではまた次回。