今宵の晩餐 vol.4 ポテトサラダ

投稿日:2022年6月20日

皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。

連載の四回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。
 梅雨の季節になりました。雲の隙間から射す薄日は力を増し、午後の気温は30度。湿度が高く少し動くだけで汗ばむような日が増えました。日々濃くなる緑にアジサイの淡い青が爽やかです。新ジャガが出回るこの時期、ポテトサラダを手作りしました。朝夕は過ごしやすい気温になりますので食欲も旺盛。酒も進みます。

主役の酒

清酒 奈良吟(ならぎん)純米吟醸

 この酒は米作りから一貫造り。地元郡山の中谷酒造管理田で私や蔵人が原料米の山田錦という品種を育てました。精米歩合60%。米の旨みが適度に残ります。この酒は圧搾後すぐに瓶詰めし、搾り立ての風味を閉じ込めた上でシャワーの加熱殺菌。冷シャワーで冷ましたあと、大正時代に建てられた土壁の酒蔵で瓶熟成。一、二年後に出荷を始めます。そんな訳で、封を切ったすぐは通常の吟醸の軽やかな風味。空気に触れて時間が経つと徐々に熟成の深みが加わります。ポテトサラダとの相性が楽しみです。

アテ

ポテトサラダ

 ポテトサラダ作りは手間が掛かるので敬遠される向きもあろうかと思いますが、電子レンジを使えば簡単です。我が家では以下の分量で作ります。ジャガイモ2個は皮をむき、半分に切って皿に並べラップをかけて電子レンジで5~6分。この時人参も一緒に入れて加熱。ラップは湯気が抜ける隙間を開けておくことがポイント。加熱が終わると鍋つかみでラップの上から芋を押せば簡単に潰れます。固い場合は更に1分加熱します。

 別に塩もみキュウリ(1本)と塩もみ玉ねぎ(半玉)、ゆで卵2~3個を切ったもの、スライスハム5枚程度を切ったものを用意します。芋と一緒に加熱した人参も適当に切っておきます。芋の粗熱が取れたらボールに移し、酢を少々加えて全ての素材をマヨネーズで和えればできあがり。大体30分の作業ですから酒のアテとしてコスパは悪くありません。

晩餐

今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。

 奈良吟は冷蔵庫から出して郡山名産・赤膚焼(あかはだやき)の片口(かたくち)に注ぎました。杯も土器(かわらけ)に似せた赤膚焼。高台(こうだい)はなく皿のようです。酒温は20度弱。冷た過ぎず酒の味がはっきりする適温です。
 ポテトサラダを盛った小鉢に茹でたブロッコリとラッキョウの酢漬を添えました。その彩(いろどり)が食欲をそそります。ポテサラを一口。舌にポテトとマヨネーズが拡がり、玉ねぎとキュウリの歯ごたえも絶妙。いつもの旨さです。そして奈良吟。軽やかな吟醸の風味が心地よく口の中に拡がります。それを繰り返す内、口に残ったポテサラのほのかな酸味が酒の甘さを中和していることに気付きます。引き締まった酒の味に満足。

 ラッキョウをカリカリと噛んで一杯。ブロッコリにマヨネーズを絡めて一杯。気が付けば空気に触れた奈良吟がその熟成期間の成果を発揮。味に深みが出てきました。そしてポテサラを一口。今宵も満足です。

ではまた次回。