中国でもアニメブームはなかなかのものがあり、オタクも増殖中です。写真を見る限りコスプレ大会参加者のレベルはかなりの水準です。
アニメへの興味は若者世代に普遍的で、秋葉原のメイド喫茶にも中国人修学旅行生がやって来ます。
1.人気を誇る日本作品
改革開放経済開始以来、20年。最初は一休さんといった教育にも役立つ質の高い日本アニメが全国放送され、子供達に受け入れられました。子供達が成長するに従って次々と新しい作品が放送され、やがてビデオやCDでも販売されるようになりました。
中国では90年代後半からビデオデッキの普及を待たずして一気にCDプレーヤーが普及しました。
幼児期から違和感なく日本のアニメに親しんだ世代は、日本文化への憧れを背景に質の高い日本アニメをCDで楽しむようになり、厚いファン層が形成されるに到っています。不正なコピーも横行し、今ではほとんどの作品が出回っています。
2.中国産アニメ
近年、中国産アニメも続々と作られ、底辺を拡げています。中国政府は産業としての成長性に注目しています。
中国政府がアニメに注目するもう一つの理由は、映像が持つ大衆への訴求力・浸透力の強さです。
政府は、日本文化の浸透に無防備であることに危機感を持つと共に、アニメの影響力を利用して先の江沢民政権下では中国人少年が日本軍を手玉に取って大活躍するといった幼児向け作品を放送していました。
3.怪獣映画
戦後日本はアニメ文化と共に怪獣映画も生み出しました。これも中国に浸透しています。
「ゴジラ、モスラ、ガメラか・・・」。小学生時代の私は、怪獣の名前の終わりに「ラ」が付く共通点に気付くほど聡明な子供でしたので、テレビの洋画劇場で「キングコング」を見て、「題名はゴリラで行けるなあ」と考えたりもしていました。
しかしアルプスの少女に出てくるクララが怪獣でないことも知っていました。
中国語版の名前は怪獣名の最後の「ラ」をどう表記するのか興味のあるところですが、拉麺(ラーメン)の「拉」を使います。この字は引く、引っ張るという意味です。しかし、怪獣名は単に音を利用しているだけです。
モスラなら、「moth」(蛾)+「ラ」ですが、「莫斯拉」と書きます。モスバーガーのモスは「mos」ですが、これも音を採って「莫斯」です。
ゴジラは「哥斯拉」。中国発音を片仮名で書くとすれば「クスラ」。中国語には濁音と清音の区別がありませんので、日本音に近づける為に濁音で表記すれば「グズラ」。何となく「ゴジラ」に似てきましたが、動きが鈍そうです。
ガメラは意味を採って「火炎亀」です。
4.中国のヒーロー
中国アニメ産業の発展情況から見れば中国製怪獣映画の登場も時間の問題でしょう。中国で作られる怪獣の名前の最後はやはり「拉」なのか、興味の湧くところです。
怪獣が出現すれば、「怪獣退治に命を賭け」(「帰ってきたウルトラマン」主題歌より)るヒーローが必要です。中国で魔除けの色は赤。そして魔除け対策最強の武器は爆竹です。
中国の正義の味方は、ウルトラマンのような赤いスーツを着て、ウルトラマンのチョンマゲ状の鶏冠(とさか)の代わりに赤い爆竹を弁髪のように背中に垂らし、両手を頭の上で合わせて爆竹の端をつかみ、「ジュワッ」と怪獣に投げつける・・・。
私はどうもウルトラマンのイメージから抜け切れません。ウルトラマンは中国でも広く知られており、「奥特曼」と書きます。
つづく
写真上:ゴジラ(小学館「ゴジラ怪獣全百科」より)
写真中:亀(中谷家の庭にて)
写真下:筆者愛用のウルトラマン鉛筆