1.中国の英語水準
日本語もそうですが、中国語では各々の単語の間にスペースはありません。あるのは句点、読点などです。そんなこともあり、街の中の看板に例えば、
「SHANGHAIECONOMICDIVELOPMENTZONE」
のようなものが見られます。
上海の歴史を語る二十世紀初期の石造りの重厚な建物が立ち並ぶバンドと呼ばれる地区があります。貿易都市・上海の象徴です。そこにそびえ立つ上海税関のビルに、「CUSTOM」、即ち「習慣」と表示されています。「税関」ならば「CUSTOMS」ですよね。
「LTD」。株式会社、「CO., LTD.」の最後のピリオドが抜けています。短縮形には、あくまでも短縮形の形態が必要です。
「JEEP」。アメリカンモーターズを買収したクライスラー、そしてダイムラーとの合併により受け継がれている小型4輪駆動車の登録商標ですが、普通名詞化しているのは中国も同じです。
「吉普」(ジープ)と言ってもそれは中国製の小型軍用車両を指すのみで、同社の北京の合弁会社で生産されるジープ・チェロキーは含まれません。「JEEP」のエンブレムは、意匠マークとしてのみ理解されています。
2.日本の英語水準
税務署からポスターが送られてきました。キャッチコピーは、
「あなたのやさしさで空きびんが資源になります。」そして、「10月 リデュース・リユース・リサイクル推進月間」。最後の「リサイクル」はともかくとして、一体何を推進するのでしょう。
「REDUCE」は減らすという他動詞です。他動詞は、読者の皆さんが学ばれたように、目的語を必要とします。ちょうど後ろに「REUSE」(再使用)という名詞があります。従って、「再使用を減らすリサイクル推進月間」となります。
一升瓶やビール瓶はリサイクルの優等生、回収された瓶は洗って再度使用しています。まさか、このポスター、回収瓶を破砕してガラス原料にすることを狙ったのでしょうか?
税を徴収する役所が、税金を使って作ったポスターがこれでは納税者が浮かばれません。制作責任者が中学生並みの英語力さえ持っていないことも問題ですが、一般人に馴染みのない英語をそのままカタカナ表記する習慣も考えものです。
3.近い将来には?
中国人の小学生が日本に来れば、算数の勉強は不要といいます。圧倒的に中国の公的教育の水準が高いのです。
日本人と同じく英語への弱点を見せる中国ですが、今では小学生の時から外国語を学んでいます。改革開放経済の下では学歴が高いものが成功する、良い仕事に就くには英語が必須、というのが両親の共通の認識です。
「漢字を使うどおしで英語が苦手なのは同じですわ・・・」、といったことがいつまで続くか、少なくとも欧米人にとって、中国での意志疎通は改善が期待できそうに思われます。
つづく