西洋料理の味付けの基本は、塩と胡椒だそうです。日本料理は「さしすせそ」、砂糖・塩・酢・醤油・味噌。香辛料は出て来ませんが・・・。
1.悪魔の薬味?
私の知る限り、コリアンダー(香菜、中国パセリとも呼びます)を見るなり食欲が失せる日本人が十人に一人はいます。本場中国では和え物、炒め物、スープなどあらゆるものに入っている、いわば日本料理の刻みネギ。
ところが、日本でこれを出す店は本格店だけ、一般には馴染みがありません。ですから「本場の味!」の感動となるか、「悪魔の薬味」となるか、個人差が極めて大きいものがあります。
2.なんか味が変やない?
「使ってる油が悪いんやろか」
初めて中国に来た日本人が、本場の料理を味わった時に漏らす感想です。
日本人が本格中華料理を口にした時、違和感を感じる主たる原因は、八角という香辛料にあります。
3.八角とは
日本では漢方薬の材料として知られていますが、中国ではそれに加えて料理の味付けの基本的な香辛料、西洋料理の胡椒にあたるものです。ダイウイキョウの実で、形が八角なのでその名称があります。北方中国では料理に使うことから「大料」と呼ぶようです。
熱した油に入れて風味をつけた八角油にして使ったり、煮物に入れて味を濃厚にするのに使います。味のベースに使われる点、ちょっと日本料理の昆布にも似ています。
4.団体旅行で
出た食事が口に合わない場合、ホテルの売店でカップ麺でも食べて我慢しようかという気にもなりますが、そうは簡単に問屋が卸しません。中国製カップ麺は、八角の風味がタップリです。
「どないしたらエエんですか!」結局、添乗員さんに無理を承知で泣きつきます。
疲れ切った添乗員さんに連れられて近くの日本料理店を探してとぼとぼと歩いて行きます。見つかりました。
「冷たいビール頼みまっさ」やれやれです。笑顔が戻ってきました。
「何でもええから、早うビールや。あと、枝豆だけでも直ぐ持ってきて」
ホッとしてビールをゴクッ。枝豆を一口。
「ゲッ!、何やこの味は!」
料理人が中国人で、中国風に八角を入れてゆでていたのでした。それ程、身近な香辛料なのです。
5.他にも
麻婆豆腐でお馴染みの山椒(中国では花椒と言います)や赤唐辛子の他にも、桂皮、クコの実など、日本人に馴染みのない幾つもの香辛料を使います。
奥が深い中国の味わい、ハマッてみるのも一興です。
つづく