北京五輪の開催が決まったということで、接客業に従事する人々への英会話やマナー向上講習も始まったそうです。
「外見上明らかに外国人と解る欧米系の人々」が改善の効果を享受できるのは解ります。しかし、「中国」即ち「世界の中心」の首都に住む北京人から見れば単なる田舎者にすぎないその他の人々にとっては如何なものでしょう。
1.チェックイン
フロントに予約確認のファックスを見せました。
「何なの?これ」このホテルが流してくれたものです。
大体、荷物を持ってチェックインカウンターで旅券を示している人の目的は一つです。最初に言うべきは、笑顔と共に「ウェルカム」とか「ニーハオ」のはずです。
「17日朝まで4泊。これで予約確認されています。」説明しました。
「13日から16日。」
「ほら、ここに四泊って書いてあるでしょう。間違えないでくださいよ。」
「13日から16日。」
ルームカードには「17日」と書いてくれました。彼女が滞在期間をどう表現するかは勝手ですが、客が確認している時には答える義務があります。これからは、欧米信仰を逆用して英語で「チェックイン!」と言うのが良さそうです。
2.ホテルのタクシー
ホテルでは契約したタクシーが待機しています。玄関で拾って行き先を告げました。
「わかんねえよ。」ぶっきらぼうです。
目的地は、「新族」というビル。が、女性運転手は聞き取れません。「民族」の「族(ツウ)」というと一発で解ったようです。すると、口を思い切りとがらせて「ツウ」とやってくれました。
中国じゅうで私の発音を訂正するのは北京人に限ります。聞き取れなかったのは「正しい発音」で話さないあんたのせいよ、という主張です。
3.「乗ってるんですけど・・・」
渋滞です。先ずは大あくび、続いて携帯電話をかけます。
「・・・に行くから、待っててくれたらいいだろ。え、何時?かまやしないよ。じゃあ、あとで。」
かかってきた電話を取る人はいますが、こちらからかける人は初めてです。終わると、げっぷ。それから徐ろにインスタントコーヒーの瓶に入った茶を飲みます。
天津でも、茶を飲んだり、痰をはいたり、赤信号で新聞を読んだりする運転手も居ますが、私が乗っている間に多くても2つまで。あくび、電話、げっぷ、茶と四連発、客を完全に無視しています。
4.防護壁
北京のタクシーは、乗客から運転手の安全を守る為に防護壁が運転席を囲っています。その防護壁が大きすぎて、後部座席の脚の入る隙間は15センチ、これでは運転手の真後ろには座れません。「3人乗りシトロエン」です。
目印のホテルの前に着きました。彼女は、ビルを探すのがおっくうなのでしょう。「このあたりだろ。」降ろしてくれました。
5.北京オリンピック
少し前まで中国政府は、北京の大学に多くのアフリカからの留学生を招いていました。北京人学生は、欧米人や日本人とはつき合っても、それらの人々との交流をしようとはしません。食堂では、北京人従業員と彼らとのトラブルが絶えませんでした。今はどうでしょう。
せっかくの五輪開催、「五輪」の意味をもう一度見つめ直して、成功に導いてもらいたいものです。もっとも、北京が首都である限りその限界を指摘する声も確かにあります。
つづく