中国では「ビールは常温」が普通です。春になって急に初夏の様な日が訪れた時、出されたビールがなまぬるいと、冬の間忘れていた「冷えているかを確認する」という基本動作を怠った自分の不注意に、ビールが苦くなります。
しばらく振りの中国国内出張、北京に戻ってきたのはよいのですが、ちょっとした気の緩みが・・・
1.動く歩道
国内線で北京空港に到着しました。カートに荷物を載せた4人組に続いて動く歩道に乗りました。
前で声が上がりました。終点で急に減速したカートから荷物が前に落ち、行く手を塞いでしまったのです。歩道は動き続けます。後からも人が来ますのでこのまま行くと将棋倒しです。私と、前を塞ぐ4人との距離はほとんどありません。
歩道の幅は80センチ、隙間をすり抜けることもできません。後ろの人を振り返ると前の騒ぎに気付かないで近づいて来ます。歩道の速度に合わせてあとずさりしながら、後ろの人との距離を確認します。3メートル、2メートル、そして1メートル、今しかありません。手すりのベルトを掴んで、それを飛び越えました。
基本1: | カートを押した人が前に居る場合は、動く歩道に乗らない。エスカレーターも含めて降り口で立ち止まる人が居るので、前の人との距離を充分確保する。 |
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2.手荷物
預けたトランクを待っています。コンベアの幅は1メートル以上あって、40度に傾斜しています。横に細長い山があったとすれば、その山の側面をコンベアが回っているような格好です。山の尾根の一ヶ所から荷物が滑り落ちてきます。妙なものを設計したものです。あきれて見ていると私のも落ちて来ました。
キャスターの付け根が割れて食い込んでいます。やられました。中身はスーツと肌着程度、詰め過すぎが原因とは思えません。飛行機から突き落とされでもしたのでしょう。
「さすが日本のSブランド、こんな衝撃でも中身が散乱しなかったとは・・・」妙に関心している場合でもありません。クレームしている時間も惜しいので、そのまま出口に向かいました。
基本2: | 機内に持ち込めるサイズの荷物に押さえ、荷物を預けるのは極力避ける。 |
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3.空港タクシー
北京空港のタクシーの評判はサイテーです。専門の係員が行き先と車の番号を控えてくれる上海とは雲泥の差。しかしバスの発車まで時間があります。費用も40元(約600円)程の違い、空港ビルも新しくなったことですし、タクシーにも「進歩」というものがあるはずです。
後ろから割り込んだオッサンが直ぐに降りてきました。勧められるまま、代わりに乗りました。荷物もトランクルームに入れられてしまいました。
走り始めると「百元や。」と言います。セコいオッサンが降りた理由が解りましたが、手遅れです。
「メーターで走って下さい。」と私。
「百元払うたらそれで終わりや。」と彼。ミラー越しに見ると、それなりの人相です。
メーターは動いていると言っていますが、見える所には取り付けられていません。
「メーターでも普通百元や。」日本人とは気付かないまでも、よそ者であることは見抜いています。
「いつも60元程です。知ってます。」
「お前が言うてんのは、安いタクシーやろ。これは2元ずつ上がるんや。」声を荒げます。
「メーター通りに払います。」
「そんな奴は、バスに乗ったらええんや。」高速道路に入ってしまいました。もう戻れません。
仲間の所に連れて行かれそうになったら、ドアを開けて飛び出すしかありません。トランクに入っているスーツを失うのは惜しい気もしますが、痛い目に逢うよりはマシに決まっています。
高速を降りると真っ直ぐホテルに向かいました。一安心ですが、これで済むとは思えません。
ホテルの玄関で止まると、彼の足元に隠れていたメーターを発見しました!。 「58元、言うた通りでしょう。荷物、出してよ。」私の先制攻撃に、彼は「金が先や。」
百元札を出せば、釣り銭が無いと言うに決まっています。丁度の金額を数えて彼に見せました。「荷物出してよ。」彼がしぶしぶ出すと、私は「領収書と引き替えや。」ホテルのボーイが見てくれているので強気です。彼は金を受け取ると、私をにらみつけながらも、そのまま引き揚げてくれました。
基本3: | メーターで走るか確認する。荷物はトランクルームに入れず、手許に置く。 |
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つづく