或る航空会社の共同運行便に乗りました。中国の航空会社の機材と乗員によって運行されているそうです。それでも日本の航空会社の名前を冠したフライトですから、例え一人でも乗員が乗っているとか、日本に準じたサービスを行っているとか、考えてしまうのが人情と言うもの。
若社長は、「共同運行」の意味を理解していなかったばっかりに、久々に空の中国を味わう羽目になりました。心の隙を突かれて、やり場のない怒りが大爆発です。
1.夜は何やっとるねん!
喫煙する為に一番後ろの席に座りました。私の横でも斜め後ろでも乗員が死んだように体を二つ折りにして眠りこけています。北京出発は午前9時20分ですから、朝が早かったことが原因ではなさそうです。いびきをかいていないのが救いです。
2.チョットは緊張して仕事せんか!
経由地の青島に近づきました。
「マモナクカサイコクサイクコーニトチャクイタシマス・・・・」
全くの棒読み、しかも大阪到着時のアナウンスペーパーです。乗客の間からは苦笑が漏れます。相変わらず外国語学習は進んでいないようです。
3.気い付けんかい!
青島を飛び立ち、水平飛行に入りました。
「ガツン!」強烈な衝撃に、食事のサービスが始まったことを知りました。カートが、私のシートにまともにぶつかっています。その後も3度。最後列の角は呪われた場所に違いありません。
4.何を言うてんねん!
「コハンオ、サバ。」
「はあ。」
「ゴハンヲサバ。」
どうも御飯と言っているようですが、私が何か言うのを待っています。私は中国語で、
「何を言っているのか解りません。中国語で話して下さい。」
結局、言いたかったのは、「御飯?おそば?」だったんですね。でも「そば」は、「中華」を付けない限り日本の「蕎麦」を意味しますから、正解は「御飯(ライス)にしますか、麺(ヌードル)にしますか。」ですよね。
スパゲティに似た麺に混ぜてある魚は小骨だらけです。途中で食べるのをあきらめました。私の隣りは空いているので、トレーを隣のテーブルに置いて本を読もうとしました。
が、目論見はハズレました。テーブルが壊れています。暫くして、やっと初めてのドリンクサービスがやって来ました。
5.ええ加減に黙れ!
乗員達の睡眠不足は解消したようです。乗員の一人用シートに二人掛け、向かい合って四人がしゃべり始めました。ペチャクチャペチャクチャ、背も高いのですが、声のキーの高いこと。おまけにすごい北京訛、半分も聞き取れませんが、どうも日常のくだらない内容です。
読書に集中しようとする私を尻目に、関西空港に着陸するまで延々一時間にわたって続きました。女性四人のおしゃべりに一時間耐えられる人は、あまり多くないと思います。私は、当分同じ経験はご免ですが、忍耐力に自信がついた気がします。
6.共同運行の意味
航空券に日本の航空会社が使用している便名が書かれている以外、搭乗券もアナウンスも掲示も全て本来の中国の航空会社の便名にて行われます。
そうそう、搭乗券には赤いスタンプを押してくれました。たぶん、フライトマイルの証明に必要だからでしょう。結局、乗客にとっては日本の航空会社のマイルが貯まるということが、共同運行便の唯一の意味といえるでしょう。
こういう事は乗ってみないと解らないものです。読者の皆様は、幸運なことに乗る前に知ることができました。情報って本当に大切ですね。
それにしても、中国の旅客機内事情を赤裸々にレポートしたVol.8「飛行機の乗り方」から既に4年、進歩の無さには恐れ入りました。
つづく