事例-その1
昨年契約法が施行されました。
その中で初めて書面以外による契約が認められました。
例えば、商店でタバコを買う場合です。
「これ下さい。」
店員は、黙って一つ投げて寄こします。この時点で買いたいという側の意思と、それに応じる売り手の意思が一致し(契約の成立)、目的物が交付されています。
買い手は代金を払って(債務の履行)、売買契約に伴う義務が終了します。
こんなことさえも、これまでは法律行為として認められていなかったのです。
事例-その2
供託という万国共通の制度があります。例えば物を買って代金を支払うことを考えてみましょう。A.相手が受け取らない場合、B.受け取れない場合、C.誰に払って良いか解らない場合、にはどうすれば良いでしょう。
放っておけば金利など追加の負担を要求されるかもしれません。そこで公的機関である供託所に代金を寄託して債務を消滅させられる、というのがこの制度の趣旨です。
これ又、新しい契約法に盛り込まれましたが、C.誰に払って良いか解らない場合、が抜けてしまっています。だいたい金を払おうとしているのに受け取らないというケースは多くはありません。お金を受け取る権利(債権)が譲渡されたり相続されたりして、譲受人や相続人が確定できない場合の為にこそこの制度があると言ってよいでしょう。
これは一例に過ぎず、多くの不備がこの新法について指摘されています。多くの大学に法学部があり、専門家も多数いるはず・・・不思議です。
事例-その3
会社のクルマを借りて遊びに行った従業員がクルマを盗まれ、会社から弁償するように要求されました。その従業員は、納得できないと拒否して問題になりました。いわく、「社長個人のものならいざ知らず、会社のものだから弁償する必要はない。」
ようするに、会社イコール社会みんなのもの、みんなの内の誰かが盗ったのであるから自分に責任は無い、ということらしいのです。
これを聞いたある日本人経営者が、この例を引いて「個人(自然人)のものであろうと、会社(法人)のものであろうと他人に損害を与えたのであれば、等しく弁償しなければなりません。」と従業員を教育しようとしたところ、誰も理解してくれないと愚痴を言っていました。全ての物が国有であった時代の名残が意識の上で今も尾を引いているのでしょう。
事例-その4
朝のニュースを見ようとテレビをつけると、広報広告をやっています。
女性がスーパーマーケットの売場で、回りに目を配って、すばやく商品をポケットに入れます。監視カメラで見ていた警備員がすかさず駆けつけます。そこで字幕、「万引きは犯罪です(原文は中国語)」。
日本では一時、「援助交際は犯罪です」といったポスターが貼られたことがあります。女子高生や女子大生などが、小遣い銭をもらうかわりに、おじさんに体を許すということが、犯罪意識無しに行われることに対して警鐘を鳴らしたものです。
大人の世界では、生活の面倒を見てもらっている相手と性的な関係を持つということは、ままあることで、その線引きを強調する意味で敢えてそのようなポスターを作成したものでしょう。
同じく犯罪行為を認識させるにしても、ちょっと次元が違います。
我々が切望し、そして又政府が目指す法治国家の理念も、実現までの道のりはまだ遠い、そう感じる毎日が続きます。
つづく