社会の安全と秩序を守るという公の任務を遂行するために必要だからこそパトカーは区別できる色に塗られ、赤色灯やサイレンを付けています。そしてそれは、必要な範囲でのみ最小限使われるべきものと考えるのですが・・・。
1.中国では
私服を来たおっさんがパトカーに家族連れで乗っていたりしますが、もっと驚くのは、一般企業がパトカーを雇うことができることです。
例えば、海外から重要な取引先が来るといった場合、飛行場からホテルまでサイレンを鳴らして赤色灯を点けたパトカーに先導され、まっしぐらに駆け抜けます。客は、公賓並みに警察に先導してもらったと大満足です。
2.日本でも
私の地元のパトカーは近年、通常の状況下にあっても常時赤色灯を点けて走行しています。最初、緊急車両と間違えて左に寄って止まっていた車もありましたが、最近は見かけなくなりました。
本当の緊急事態でも道を譲らない人が出てくるのが心配です。これとは逆の事例ですが、昔の出来事を思い出しました。
3.深夜の中央高速
ルームミラーに後方の車のライトが写ったかと思うとアッと言う間に私の車の後ろに到達しました。時速200kmは出ているでしょう、暴走族か或いは改造車でレースの真似事をしているのか・・・。
不思議なことにその車は、制限速度で走る私の直ぐ後ろに張り付いたまま、ずっとついてきます。
4.登り勾配
前のトラックの速度が落ち、車間が縮まってきました。「抜くべきか・・・」丁度気味の悪い後ろの車を先に行かせるチャンスです。右にウィンカーを出し3秒待って追い越し車線に入りました。後ろの車も同じ事をします。
トラックの前にはもう一台のトラックがいます。追い越すのであれば二台一緒、素早く加速して抜き去り左にウィンカーを出しました。トラックとの安全車間を確保できたので走行車線に戻り始めました。
5.その時
後ろの車の上に赤色灯が点りました。私の車を追い越すとスピーカーで左に寄って止れと言っています。更にその車は私の車を止めようとブレーキを踏んだりジグザグに走ったりします。私はそれを避けながら道交法通りに走り続けます。
いつまでもやめないので、覆面パトカーの可能性が高まりました。左に寄って止まることにしました。
6.「免許証!」
交通機動隊の服を来た男が怒鳴っています。少しだけ窓を開けて理由を尋ねると、
「スピード違反しただろう!」元気な声です。
「あなた方が私の車をあおった結果、それをやりすごす為にやむなく避けただけです。」
「違反は違反だ、免許証を出せ!」
押し問答が続きますが、私は先を急ぎます。これが最後とハッキリ言ってやりました。
「あのね、あなた方の運転、私はずっと見てたんですよ。最初にミラーに写った時から私の後ろに付くまで、どんな速度で走っていたか知ってますよ。赤色灯も点けず、サイレンも鳴らさず、通常の情況ではあなた方も道交法を守る義務があるんでしょ。」
立場は逆転、今度は頭を下げて御願い口調です。私は「任意で」ということを念を押した上で、参考までと運転免許証を見せてやりました。
7.共通の願い
最近日本では警官の不祥事がよく報道されていますが、中国であれ日本であれ、社会の安全と秩序を守る公的な、しかも独占的な立場にあるという自覚・心のけじめを大切にしてもらいたいものです。一旦失った国民の信頼を回復するには、より多くの時間がかかります。
つづく