一般に、中国旅行といえばトイレの話しに始まり、トイレに終わるほど、強烈な印象を残すようです。特に女性にとっては、中国旅行を躊躇される最大の要因と聞きます。しかし、日本の高度成長前の情況を思い出してみましょう。経済の発展と共に公共インフラが整備されていくことをお忘れなく。
今回は、変わりつつある現代中国のトイレ事情に迫ってみます。内容が生々しいだけに、食事中の方はご遠慮下さい。
1.緊急の場合は・・・
夏の北京の営業中、我慢しきれず公衆便所にかけ込みました。蒸し返るようなアンモニア臭が目に染みます。先ず目に飛び込んで来るのが大きいほうです。
単に一本の溝があるだけ、溝のところどころに汚物が盛り上がっています。その上で小さな白い生き物が動いているようですが、じっくり見ている余裕はありません。息をとめて小便のほうに向き直ります。壁際に傾斜した溝が掘ってあります。ここです。
息を止める限界に達した頃、用を足し終え外に飛び出します。「ゼー、ゼー・・・」と息を整えます。大きな達成感に浸る一瞬です。
2.二者択一の決断
北京・天津高速道路のサービスエリアです。建物の外で皆さんが立ち小便をしています。不思議に思って近づいていくと、何と、トイレの入口から黄色い液体が流れ出ているではありませんか!
パイプが詰まったのでしょう。それでも中に入っていく勇敢な人がいます。私もついて行きました。流れの外縁部を爪先立ちで歩きます。と、前の人は大便器に向かいました。入ってきた理由が解りました。
来てしまった以上、溢れる便器で用を足すか、外でするかの二者択一の決断に迫られたのです。結果は申さないほうが無難でしょう。
3.一般観光客の場合
最近は有料トイレが増えてきました。だいたい一回が2角(約3円)です。水洗で臭気が改善されており、更に手を洗う水も出ます。もっとも男性の小用は壁際に溝があるだけ、女性の場合は低い囲いがあるだけであったりして、フルカバーされていませんので、プライバシーはあまり保護されていません。左右の方と顔を見合わせながら用を足すことも多いようです。
北京を代表する観光名所、故宮博物館であっても、欧米人とおぼしき人が入るなり、「オー・マイ・ゴッド!」。大きいほうの用を足している人と目が合ったのか、はたまた床が尿の混じった水でズルズルだったのか、新鮮な驚きがあったようです。
4.南高北低
経済の発展度合いと関係があるのでしょう、トイレに関する限り上海、蘇州、無錫など南の観光地は比較的情況が良いようです。観光客の多い北京は意外にも中国旅行入門者に適しているとはいえません。
前述のような体験を望まれない方は、空港やホテル、百貨店、新しいオフィスビル、外国人客の多いレストランなどで用を足されれば、特に不自由は感じないでしょう。
5.使ってみたい
一方、昨年完成した上海・南京高速道路のサービスエリアは、最高に清潔です。無料、水洗、大便のほうの囲いは日本と同じフルカバーです。更にトイレ全体にエアコンが効いています。中国ではここだけとか、最先端です。
因みにこのサービスエリア、無料の休憩室にはエアコンが効いて、土産物を売る売店、食堂や外国人が泊まれる宿泊施設まであります。茫洋と広がる湖が見渡せたり、黒い瓦に白壁の農家が果てしなく続く田園風景も情緒があり、時間が許せば一泊してみたいと思っています。
6.毎日使うトイレ
ところで、毎日使う私の部屋の水洗洋式便器の場合です。小の時は便座をはね上げて用を足しますが、施工の失敗で隣の洗面器に近すぎて便座の上部が当たり、危うい状態でやっと立ち上がります。
従って、用を足している途中に「パタン!」と倒れて来て痛い目に遭ったことも一度や二度では済みません。ところがうまくしたもので、便座を固定している蝶番が緩んできました。
はね上げて洗面器の下側の曲面に沿ってググッと押し込めば何とか止まります。これで安心。蝶番がガタガタでなければ、こうはいきません。
物事は総合的に考えることが大切です。中国で教えられることは少なくないのです。
つづく