VOL.19 給仕について思うこと

投稿日:1997年12月27日

給仕について思うこと

シーン1.

 そこは、軍の経営するホテルです。中国では、軍も商売をします。渤海湾では、海老の養殖もやっていますが、海軍のヘリコプターが空中から餌をやっているとか、改革開放経済の流れは、軍にまで及んでいるのです。

 話を元に戻します。そのホテルは、安全かつ安価、弊社からも市内に行く途中にあるので、以前よく利用しました。一年ぶりに利用した時の事です。朝食を食べに、一階の朝鮮レストランに入りました。

 韓国人の経営に変わったそうで、目に付く文字は全てハングルです。ただメニューに中国語訳、即ち漢字が入っています。値段もかなり上がっています。ともかく汁ソバをみつけてそれを注文しました。

 

 30分待ちました。後10分で迎えが来ます。もう待てません。店員を呼びました。
 「五分以内に持ってこないと、帰ります。」

 

 すると直ぐに持ってきました。すっかり冷めて、麺も伸びきっています。そういえば、注文を受けた女の子は、いつの間にか店に居ません。たちどころに全てが理解できました。

 

 ア.彼女は、調理場に注文を通すと、遊びに行ってしまった。

 イ.調理人は作るだけ作ってカウンターに置いて彼の職務は終了
     (客に届くかどうかは、彼の職務の範囲外です)。

 ウ.私が催促した女の子は、自分の受けた注文では無いので運ばない。

 エ.従ってカウンターに放置された。  以上、という構図です。

シーン2.

 国際線を運行する中国のある航空会社の機内です。

 

 機は、関空を飛び立ち、高度を上げてやがて水平飛行に移りました。飲み物に先んじて、機内食が運ばれてきました。ところが、飲み物がやってきません。汁物の無い洋食の場合、飲み物がなければ食事はできません。多くの人が食事に手を付けずに待っています。

 

 気が付くと免税品の販売を始めています。中国人と思われる方々が次々にみやげ物を買っています。一向に終わる気配がありません。

 30分も経ったでしょうか、やっと免税品を載せたカートが通路をあけ、飲み物のサービスが始まりました。やれやれ。

 だいたい食事には出す順序というものがあります。中国では、ほとんどの店で、直ぐに飲み物が出、料理は先ずは冷菜、次に炒め物などの暖かい料理が出ます。それから「主食を出しますか。」と尋ねてからご飯や麺類などとスープを出してくれます。

 注文を取る時も、料理を頼んだ後、必ず「主食は何にしますか。スープは。」と尋ねてくれます。これは、小さな店でも見事に実行されています。それだけに、上記のような場合の疲れ方は尋常ではありません。 

 でも日本に帰るとホッとします。一定のサービスの水準が保証されているからです。日本に帰ってきて、中華料理を食べに行く事は少ないのですが、先日誘われて行ってきました。やはり日本は清潔、注文の取り方もしっかりしています。

 

 料理が来ました。真っ先に熱い料理です。冷菜のピータンや蒸し鶏ではなく・・・。

 

 「あのねえ、冷菜ねえ、」と店員にそこまで言うとすかさず、
 「先に持ってこんといけませんね。」と店員。

 

 わかっとるんやったら、先に持ってこんかい!

つづく