新春の行事と酒造り後半 vol.134

投稿日:2016年2月05日

<新春の行事>

とんどの準備(一輪車の上の正月飾り)

 新年会も1月15日を最後に打ち止め。正月気分も抜けました。

 そして1月23日は若草山の山焼き。夕刻、花火が打ち上げられ若草山の枯れた草に火がつけられます。今年はあいにくの小雨。焼き残しがでましたが、後日焼かれます。中谷酒造のある番条町は、平城京の朱雀大路の南端、羅城門跡から南に1.7キロ下ったところ。奈良盆地には高い建物がありませんので、若草山は北東9キロにはっきり見えます。

 番条町では2月1日が小正月。翌2日は、とんど。予め正月飾りや旧年の御札を一輪車に乗せ、準備完了。当日は夜明けの7時前から決められた田んぼで火をつけます。筆者の子供の頃は、どの家も「どうがん」と呼ばれる一本の竹と藁で作られた正月飾りを作りましたが、近年は廃れ、焼かれる飾りも少なくなりました。

 2月3日は節分。4日は立春。いよいよ春の訪れです。

<酒蔵の様子>

麹米を放冷し、種付け、麹室へ運ぶ(2月2日)

 正月明けと共に酒造りの後半が始まっています。純米吟醸を皮切りに大吟醸が続きました。そして二月は、純米吟醸が2本。その内1本は奈良県の酵母「山乃かみ」(やまのかみ)、大和郡山産山田錦で醸す、オール奈良の酒です。

 山乃かみ酵母は、三輪山(みわやま)の麓、大神神社(おおがみじんじゃ。桜井市)境内の笹百合から採取された酵母を分離培養したものです。いわゆる花酵母。どんな酒になるか、筆者も楽しみです。この酒は、三日踊シリーズとして5月頃発売予定です。

 2月2日から4日まで、炭火焼鶏とかじ(三津寺筋)の戸梶店主とTsuyoShin-chi(宗右衛門町)の恩田店主、マーブルの谷口店長など三人が酒造り体験に来られました。麹作りを一通り。初日は麹米を蒸して引き込みと午後の手入れ。二日目は製麹機(せいきくき)への盛り込み。三日目は出麹(でこうじ)。そして洗米や仕込も経験いただきました。

 4日と5日は、弊社特約店の東酒類(東京都千代田区神田淡路町)から営業マンがお一人、酒造りの勉強に来られました。

 1月に仕込んだもろみは、全国新酒監評会出品用の大吟醸など、とりわけ精密な発酵管理が必要で、酒蔵には緊張感が満ちています。

写真1:とんどの準備(一輪車の上の正月飾り)
写真2:麹米を放冷し、種付け、麹室へ運ぶ(2月2日)