御大師さんの祭り、火入れ、苗床作り vol.113

投稿日:2014年5月09日

<御大師さんの祭り>

 弊社のある番条町は真言宗信仰の篤い集落です。各戸が四国八十八個所に相当する厨子を一つずつ持ち、4月21日に各家の前や門に出して飾ります。集落を廻れば一日で八十八個所巡りができるという趣向です。

 中谷家は、三十番札所善楽寺(高知市一宮)。御詠歌は、「人多く立ち集まれる一ノ宮 昔も今も栄えぬるかな」。

 朝から沢山の方がお参りに来られます。お参りの方は、供えてある餅や菓子を一つずつ持ち帰られます。上田市長、飯田農業委員長もお参り下さいました。

<蔵の様子>

門に飾られた厨子

 新緑が映える時期になりました。

 4月28日、今シーズンできた全ての新酒の火入れを終えることができました。

 火入れとは、酒を60℃に加熱しタンクに密封する作業のことです。搾られた新酒は、約1ヶ月で澱が下がります。その上澄みを更に濾過してから火入れを始めます。

三十番札所の厨子

 酒にはアルコールが含まれますので、100℃にせずとも60℃を一定時間保つことで酒を腐らせる乳酸菌など全ての雑菌が死に絶えます。これを低温殺菌と言います。

 火入れは雑菌を殺すのみならず糖化酵素の活性もなくし、貯蔵に適した状態にします。この低温殺菌の原理は、著名な生物学者パスツール(1822-1895年)が発見するよりも前の江戸時代の日本で、酒造り職人の経験から生み出されたというのですから驚きです。

苗床の種籾落とし(右石川さん)

 火入れの道具は、蛇管と呼ばれる管です。タンクの中に蛇管を設置し、タンクに湯を張り、蒸気を吹き込んで温度を上げます。酒は蛇管を通る間に60℃に加熱され、ホースでタンクに送り込まれます。

 火入れが終わると、そのタンクは密封されます。酒は暗く涼しい酒蔵の中でゆっくりと熟成し、円やかになります。基本的には秋まで熟成させてから出荷されて行くのですが、昨年度醸造の古酒が少なくなったアイテムは、既に新酒をブレンドしながら出荷が始まっています。

完成したパレットを前に

 5月8日、山田錦の苗床を作りました。今年の作付け面積は6反半。苗床のパレットは約百枚です。

 種籾(たねもみ)は連休中に水に漬けておきましたので、根の部分が既に白く膨らんでいます。パレットに砂を入れ、そこに種を薄く播きます。そして栄養のある土を被せれば出来上がり。昨年に続き、大和証券の石川さん(奈良支店上席課長補佐)が手伝って下さいました。

 作業は午後1時に始まり1時間半で無事終了。これから田植えまでの一ヶ月、毎日水遣りです。

写真1:門に飾られた厨子
写真2:三十番札所の厨子
写真3:苗床の種籾落とし(右石川さん)
写真4:完成したパレットを前に