<蔵の様子>
2月下旬の暖かな日射しで梅の開花が一気に進みました。弊社の遅咲きの梅もつぼみがふくらみました。ひな祭りをめがけてやってきた寒波も過ぎ、大和路の着実な春の訪れを実感しています。
今月2日は今シーズン最後の米を蒸しました。これで仕込み作業は終了です。この日のことを甑倒し(こしきだおし)と呼びます。「こしき倒しはいつや」というふうに使います。
昔は、大釜の上に甑(こしき)と呼ばれる円筒形の枠を乗せ、そこに米を入れて蒸しました。酒造りが終わると甑を大釜から外して保管します。甑を外すので甑倒し。その日は蔵人の慰労を兼ねて宴席を開いたものです。
今シーズン、三本のタンクに仕込んだ出品用大吟醸ですが、7日に三本目を無事搾り終えました。この中から最も良いものを選んで出品します。
蔵では、発酵中のもろみ管理が続きます。これらを搾り終えたら酒造りは終了です。一方で、仕込み作業に使った機械や道具類の片付け作業が始まっています。
<今月の話題> 卯年
今年は卯年。干支(えと)は、旧暦に基づいて十二支を割り振ったものですから、旧暦の元日である2月3日から始まりました。その卯年も既に一ヶ月を過ぎました。卯年は、うさぎの性格からか、比較的平穏な年を予想する人が多いようです。
卯年には株価が上がると言われています。今年も既にその気配が見られます。12年毎にそれぞれの理由があるのでしょうが、今年の原因は米国政府による米国国債の買い戻し政策にあるようです。
自ら発行した国債を自ら買うという矛盾した政策ですが、景気刺激策として一般に行われています。問題は、その金額が大きすぎることです。ドル紙幣を印刷して、そのドルで国債を買い戻しますので、金融市場には大量のドルが出回り、世界を巡って、そのような余剰資金が株式購入に回ります。
株高は景気にとって良いことですが、余剰資金は穀物や原油など商品市場にも流れ込み、物価高に繋がります。既にその兆候は顕著です。嬉しさ半分、悲しさ半分。何れにせよ、穏やかな年になって欲しいものです。
写真上:中谷家の梅(3月6日撮影)
写真下:洗浄を終えた装置や容器