2月から3月に掛けて、3本仕込んだ出品用大吟醸酒のもろみを搾りました。
何れも兵庫県産山田錦100%。精米歩合は35%。酵母菌を複数使い、そのブレンド比率を変えています。
どれを出品するか、どれが一番良いか、杜氏と共に利いてみました。この結果を基に先ずは二つに絞り込みます。
全国新酒鑑評会の前に奈良県酒造組合、そして大阪国税局の品評会があります。これらの結果も参考にして、全国新酒鑑評会に出すものを一つ決定します。
3月3日、今年最後の仕込み作業を終えました。これで今シーズンの米を蒸す作業は基本的に終了です。残るは、四段と呼ばれる甘酒用の米を蒸すのみです。
米を蒸す作業は、昔は大きな釜の上に甑(こしき)を載せて、それで蒸していました。シーズンが終わりますと甑を外して手入れをして、釜もきれいにします。この甑を外すことを「甑倒し(こしきだおし)」と呼び、一冬の酒造りの区切りとします。
残るは、3本のタンクのもろみ管理と圧搾です。春の訪れと共に酒造りが終わります。
<今月の話題> 私事で恐縮ですが・・・
3月10日、東京大学の入試結果が発表されました。愚息は、一浪して万全の体制で臨んだのですが残念な結果に終わりました。筆者と同じ経緯で早稲田大学法学部に進学します。
受験生を抱える家庭の例に漏れず緊張感に満ちた二年間でしたが、ようやくそれから解放されます。ただ、息子が居なくなると家庭は寂しくなるものです。そんな矛盾を感じつつ、気がつけば沈丁花(じんちょうげ)の甘い香り。沈丁花の花言葉は、栄光、不死、不滅とか。春を実感しています。
この号終わり
写真上:粕の踏み込み作業
写真下:庭に咲く沈丁花(中谷家)