順調に酒造りが続いています。
11月24日、最初に仕込んだタンクのもろみを搾りました。今シーズン最初の新酒です。かすかに淡い黄色。華やかな香りは酵母が作り出したもの。麹の甘い香りも含まれています。この酒は、しぼりたてのまま瓶詰めされ出荷されて行きます。
もろみは、米が麹の糖化酵素によって溶けていますので白く濁った液体です。布目を通して漏れてくる液が酒、残ったものが酒粕です。
我々は現在、圧搾機という機械を使って酒を搾ります。圧搾機には布で覆われた一平米ほどの大きな板が何十枚もセットされています。特殊なポンプでもろみを圧搾機に送りますと、もろみは布と布の間に注入されます。
酒は布目を通して板側に滲み出し、パイプを通って一番下の垂れ口から流れ出ます。搾り終わって板と板を離しますと、布の表面に酒粕が貼り付いています。幅15センチほどのヘラを使って、酒粕を剥がし、下に受けたステンレスの大きな皿に落とします。
昔は、幅30センチ、深さ1メートルくらいの布袋にもろみを杓で汲んで入れ、袋の口を織り込み、それを槽(ふね)と呼ばれる頑丈な木枠の中に並べて行きました。袋の上に袋を重ねて槽(ふね)が一杯になると蓋をします。
蓋の上に重しを載せ、最後は天秤を使って重量を掛けて搾りました。酒粕は、袋の中に残りますので、袋から粕を取り出す作業も大変手間が掛かりました。機械は有り難いものです。
写真上:湯気を吹き出す甑(こしき)
写真下:圧搾機の洗浄作業